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少年の名前はアズラク・アル=アイシャ。もちろん、日本人ではなく、アラブ人である。エジプト出身で、幼少のころ来日したらしい。肌は白く、身長も低めのため年よりも幼く見られがちである。気の弱い性格から、クラスではアズの愛称である意味で親しまれている。
麟紅と特別仲がいいわけではなかったが、一年生のとき同じクラスになった麟紅にうっかり話しかけてしまい、困ったときは成績も運動能力もある麟紅を頼るようになってしまっていた。
それは、その後に生徒会に入ってからも変わらず、副会長という役職にありながら先輩にパシリ同然に扱われている不幸な少年である。
「だいたいなんでいつも俺を頼んだよ。他にいるだろ」
「いや……生徒会のみんなは忙しそうだし、他の誰もこんなこと出来る人いないだろうし、頼れるのは麟紅君だけだよ」
「その発言は裏を返せばお前は生徒会では暇でお前の友達は役立たずって言ってるのとさほど変わらねぇ気がするが?」
「き、気のせいだよ!」
手をパタパタと振りながらアズラクは訂正した。
麟紅はそんな少年が情けなく見え、頭を抑えてため息をついた。
「はぁ、アズ、お前ももうちょっとしっかりしろよな……」
あはは、と頬を掻くアズラクと共に、麟紅は路地裏の奥へと歩き出した。
少年の名前はアズラク・アル=アイシャ。もちろん、日本人ではなく、アラブ人である。エジプト出身で、幼少のころ来日したらしい。肌は白く、身長も低めのため年よりも幼く見られがちである。気の弱い性格から、クラスではアズの愛称である意味で親しまれている。
麟紅と特別仲がいいわけではなかったが、一年生のとき同じクラスになった麟紅にうっかり話しかけてしまい、困ったときは成績も運動能力もある麟紅を頼るようになってしまっていた。
それは、その後に生徒会に入ってからも変わらず、副会長という役職にありながら先輩にパシリ同然に扱われている不幸な少年である。
「だいたいなんでいつも俺を頼んだよ。他にいるだろ」
「いや……生徒会のみんなは忙しそうだし、他の誰もこんなこと出来る人いないだろうし、頼れるのは麟紅君だけだよ」
「その発言は裏を返せばお前は生徒会では暇でお前の友達は役立たずって言ってるのとさほど変わらねぇ気がするが?」
「き、気のせいだよ!」
手をパタパタと振りながらアズラクは訂正した。
麟紅はそんな少年が情けなく見え、頭を抑えてため息をついた。
「はぁ、アズ、お前ももうちょっとしっかりしろよな……」
あはは、と頬を掻くアズラクと共に、麟紅は路地裏の奥へと歩き出した。