「しかし、魔法使いとは常に“最強”を求めるもの。己の血にかけて、許されない敗北の中、ただ一心に絶対的な“最強”を求めるもの。だから、“禁忌”に手を出そうとするものは少なくなかった。もちろん、【教会】に反発していた者たちもその“禁忌”を欲していたことが原因だ。いつしかその者たちは集まり、“最強”を目指す集団が誕生した。それこそが<黄金の暁>」

 そこまで言うと、カーキーは麟紅に視線を向けた。

「な、なんだよ」

「わかんねぇか?」

「は?」

「あ!」

 藍奈がハッと顔を上げた。

「手に入れるには危険が多すぎる“禁忌”よりも……もっと手近なところにある“最強”を手に入れる方法……」

「そう、麟紅、お前の帝の竜だよ」

 あ、とようやくここで麟紅は理解した。“禁忌”に手を出す前に、“禁忌”と同じく魔力を直接使うことの出来る力、“竜王術”を手に入れれば、“禁忌”を犯すことなく“最強”を手に入れることが出きる。