そんなわけだから、事務所に着くのも予定より早くなってしまった。
 玄関から上がるなり三人はソファやら床に寝転がり、荒れる呼吸を落ち着かせた。

「おや? お主らはなんでそんなに疲れてるでござるか?」

 キッチンから出てきた朽葉がその壮絶な光景を見て首をかしげる。しかし三人が息が上がって答えを返せないとわかると、そそくさとキッチンへ戻って行った。
 朽葉が部屋を出て行くのと玄関の扉が開くのは同時で、そこから軽快でオンチな鼻歌が聞こえた。

「おっす~! お前ら元気にやって……た……」

 カーキーが部屋の扉を開き、中の様子を見渡して、ゆっくりと部屋を立ち去った。と思ったら。

「お前ら! 大丈夫か! いったい誰にやられた!!」

「うっせぇ! 何がやりてぇんだお前は!!」

 もう一度カーキーは大声を上げながら部屋に入ると、キレた麟紅が起き上がって負けないくらい叫んだ。

「おう! 元気みてぇだな!!」

「だからうっせぇって! こっちぁ全然元気じゃねぇんだよ! ちょっと黙って……!」

「「あんたたちがうっさいのよ!」です!」

 藍奈と茜が同時に吠えた。もう一度横になった二人をしばし見つめて、麟紅とカーキーは小声で「すんません……」と呟いた。