――『…昴…。もう、終わりにしよう…あたしたち…。』
口にした言葉が
風に、夜に吸い込まれてゆく。
昴の顔は見られなかった。
だから、背中を向けた。
自分で言ったくせに
泣くなんて
あたしはどれだけ勝手なんだろうか。
苦しくて、悲しくて。
色んな事を考えて
出した答えが、“別れ”だったのに。
「……嘘、だろ?」
あたしと同じように震えてる昴の声が、せっかくの決心を鈍らせた。
…でも、もう決めたの。
あたしと昴は
価値観が違いすぎる。
あたしは
昴の“一番”になりたくて。
だけど、昴の“一番”はあたしじゃなくて。
例え、ここで仲直りしたとしてもきっとまたこうゆう喧嘩をすると思う。
その度に
泣いて話し合って
だけど、解り合えなくて。
それなら、終わりにした方がいいと思ったの。
あたしの為にも
昴の為にも
そして、二人の為にも。
もう、これが限界なんだよ。