例えば、この世に本当に
“運命”と呼べる程の奇跡があるとして。
その“運命”が、生まれた時から決まっていたとしたら
寧々が今から口にする言葉も
ずっと前から決められていた事だったのだろうか。
俺たちが出会う、その前からずっと?
…だとしたら、神様。
何で、俺と寧々を巡り合せたんだよ。
何で、こんな事になっちゃったんだよ。
もう、本当にどうしようもないの?
俺は過ぎった予感を振り切るように
とにかく懸命に言葉を探した。
でも、それはあえなく寧々の言葉に淡く、消えて。
寧々の背中が、全てを諭すように震えた時。
「…昴…。もう、終わりにしよう…あたしたち…。」
通り過ぎる車のヘッドライトが
寧々の背中を、歪ませ
そして、滲ませていった。