はぁ、と溜め息を落とし
プリントの上にシャーペンを転がすと、ふと目についた光るモノ。
「ヨッシー、それ…、」
あたしの視線に気が付いたヨッシーは「あー、これ?」と、どこか浮かれた口調で話し出す。
「ほら、あたし昨日誕生日だったじゃん!そうしたら、リョウがくれたんだぁ~っ!」
リョウというのは、ヨッシーの彼氏。
ヨッシーは悩ましげに光るその指輪を見つめて、幸せそうに顔を綻ばせた。
「…いいなぁ、」
なんて、小さく呟いたあたしにヨッシーは
「なーに言ってるのよぉ!寧々にだって自慢の彼氏が居るじゃない!」
そう言って
輪の中心に居るアイツを指差す。
そんな浮かれ気味のヨッシーに促されるように向けた視線の先には
一際大口を開けて笑うアイツの姿。
その時
ハラリ、と机から落ちたプリントを拾い上げ
あたしは再び溜め息を吐き出した。
先程のあたしの字よりも断然汚いその文字。
相澤 昴(アイザワ スバル)
…一応、あたしの彼氏。