『言葉』とは
一体、何なのか。


ふと、そんな事を考えてみる。



相手に自分の気持ちを伝える為に、『言葉』は存在するはずなのに

俺たちは、不器用で。


『言葉』を上手く
伝える事が出来なくて。




でも、難しく考える必要なんてないんだと思う。


ただ、単純に。

心の中にある想いを―――。




「……す、ばる?」

抱き締めていた腕を解くと
うっすらと目を開いた寧々が、俺の名前を小さく呟く。


それだけ。
たった、それだけなのに。


この胸はどーしようもなく
君に揺れて。



「……寧々、」

さらり、と彼女の前髪を撫でれば彼女の瞳に浮かんだのは
儚くも、透明な大粒の涙。



…なぁ、寧々。
俺、ちゃんと伝えるから。


俺の気持ち
受け止めてくれる?