「いよいよ、今日だね」

緊張した表情の母。

「…うん」


あの日、受験のために。
母の貯金はとうとう
三千円になった。


俺が受かる事が出来れば、全寮生で、生活に支障はないのだが、母はどうするのだろう。


「今、何時??」

「…九時半。あと10分したら学校行く。」

結果発表は本来、アンジェリカ学園本校で行われるのだが、県外の受験生には、特別に学校に連絡が行くようになっている。


「…母さん」


「…心配しないで」


俺の質問を見透かしているかの様な答えだった。