壁は色が落ち、ボロボロになっている。
全てが木造の廊下は、踏み出す度に体重でしなり、ギシリと悲鳴をあげた。

「若い客は久しぶりじゃな。まぁ、ゆっくりしていきなさい。」

腰の曲がった老人は、一つ一つ確かめるようにゆっくり歩みを進めると、元いた奥の部屋へと帰っていく。