「おぉ、いらっしゃい。見ないお客さんだね。」

呼び鈴に導かれるように、奥から一人の老人が顔を出した。

何というか、ここは待合室のようだ。
座れるように長い椅子が置いてある。
しかし、それは所々が破れ、中からは黄色いスポンジがはみ出ていた。

受付のようなものも確認出来るが、もう長年人のいた形跡は無い。
ガランと蛻の殻になったスペースは、欠けている机と共にどこか哀愁を漂わせていた。