しばらくボーッとしていると、面会時間が終わった。

医者と看護婦に促されて、いそいそと部屋から出ていくおばさん達。
恭子は何度もこちらを振り返り、とても名残惜しそうだ。

俺は笑顔を作ると、恭子に対して軽く手を振った。
すると、向こうも安心したようで、余程嬉しかったのだろうか、腕をブンブンと左右に大きく振った。

それが看護婦の側頭部に当たり、指を差されながら激しく叱咤される恭子。
その様子を目を細めて見つめながら、俺は苦笑した。