「良い爺さんだったな?」

帰り道、健吾が急に口を開いた。

(きっちり診療代取られたけどね。)

アタシはそっけなくそれに答える。

「通院して記録とって貰うのも良いかもな?」

(きっちり診療代取られるけどね。)

同じような事を言われて、正直、少し苛っとした。

「…冷たい奴。」

ボソリと健吾が呟く。
その言葉に、アタシは言い返す事が出来なかった。