「まぁ、難しく考えるな。要は慣れじゃよ。」

コレに慣れてしまったら、人間として終わりだと思う。

「とにかく、ワシに出来る事はこんな事位じゃ。ほれ、右脚出さんかい。どれ、靴も応急処置してやろう。」

健吾は言われるがままに脚を出した。

老人は消毒液の染み込んだ綿で傷口を綺麗に拭き取ると、上から絆創膏を貼ってくれた。
ミュールの紐も包帯止めのテープで固定してくれた。

産まれる前に祖父が死んでしまっていたアタシにとって、それはとても心地好い反面、どこか照れくさい感じがした。