無意識のうちに俺は
千穂を抱きしめていた

戸惑いを隠せない千穂にありのままの気持ちを
ぶつけていた

千穂を求め続けてきた事

それなのに…





千穂はゆっくりと
俺の胸から離れた

そして強い眼差しで
俺を見ていた

『私はダメだよ…』

また千穂は俺の元を
離れていこうとしている

俺の気持ちだけを
置き去りにしたまま

だけど、今の千穂に
こんな事を言う俺も俺だ

受け入れてくれる
はずがないのに

大切なものを失った
ばかりの千穂なのに

千穂は俺を傷付けない
ように話してくれた

今のままの自分じゃ
ダメなんだと言った

大介に頼っちゃ
いけないと思うなんて

今は無理だって

それは千穂の大きな
気持ちの切り替えのはず

俺は邪魔をしちゃ
いけないんだ

千穂が大切だからこそ