千穂の声が落ち着いて
呼吸も整ってきた

『ありがとう』

千穂は何度も繰り返した

千穂は落ち着きを
取り戻して、また
コーヒーを入れてくれた

暖かいコーヒーを
差し出しながら俺の
過去を知りたがった

俺は少しずつ話した

自暴自棄になって
酒に溺れていた事

それから、麻美の事を
ゆっくりと話し始めた

千穂に対する素直な
気持ちと麻美を思い出しそこは簡潔に話した

情けないよな、俺
なんて笑いが出た

自分で話していて思った

俺は千穂を追いかけて
ずっと千穂を求めていた

失ってもまだ千穂を
追いかけ続けていた事

千穂を忘れようとして
むしゃくしゃしながら
色んな女を抱いていた

せっかく千穂を
忘れられそうだと
思っていたはずの恋は
騙されて終わった

ずっと気持ちの先には
千穂が居たんだ

ずっと求めていたんだ