どれほどの時がたったのか。
永遠にも感じる時の流れだった。
走って走って。

疲れたのか,途中で躓いた。
灰色の世界はあたしにとても,冷たかった。
どんなに走っても,もう溶けちゃったんだ。

心の中で諦めが生まれた。
あたしが溶かしちゃったんだもん,もう戻らない。
あたしは自分の手で居場所を溶かした。
消した。

諦めはゆっくりと成長し,ふくらんでいった。
ただあたしはそれを見ていた。
もうそれしかなかった。
ふくらんだ諦めは,絶望に変わった。

絶望があたしに向かって手招きをした。

あたしは素直に,寧ろ何も思わずに近付いた。
絶望があたしを覆った。
絶望の中は真っ暗。
黒の世界だった。
それともあたしが目をつぶったのか。
少なくとも望んでいた世界はそこに存在していた。

望んでいた,はずなのに。
あたしは逃げたかった。
そこにいるのは嫌だった。
しかし絶望はあたしを離してはくれない。
また走りだした。

何がなんだか分からなかった。
走っては泣きの繰り返し。

カオス(混沌)に飲み込まれる。