だってあたしは誰とも混じらないから。

むしろ混じりたくはない。
一人でいれば
傷つくこともない。
傷ついてしまうことだって。


無味無臭。
本当はそんな存在になりたかった。

あたしは
透明で見えない存在になりたかった。
でも神様はそれを許してはくれないんだね。


人目を惹く容姿と普通ならありえないこの知性


周りがほっとくはずがない。
うざったい。
あたしなんてほっといてよ。
いつもいつもいつも....
どうして一人にしてくれないのよ。
妬むくらいならほっといてよ。
あたしなんてどうだっていいじゃない。


ふと,この店で働き始めたときのことを思い出していた。


『...お―――い,ナル。
お前遠くに行ってんぞ。』
ヨシハラの声で我に帰る。

『別に。
ヨシ店長は計算もできなくなっちゃったんだなぁって哀愁に浸ってたの。』
『うわ―いつも通り痛いな。
そんなナルちゃんもカワイイぞ♪』
『.......気分悪くなったんで...
今日帰っていいですか。』

いつものやりとり。
ヨシハラは,あたしのことをかなり気遣ってくれる。
というよりこの人には何かと隠し事ができない。