俺を必要としてくれる人間なんているんだろうか。

母にさえ見捨てられてしまったこんな俺を必要とする人間なんているんだろうか。

俺は何のために生きなければならないんだろう

母に必要とされず見捨てられた俺の生きる意味とは何なのだろうか

絶望と悲しみが俺を襲ってくる。

いつも見る悪夢が俺を闇へと包み込んで心を絡め取っていく。

寒い…

心が凍り付いていく…

…凍りつくような冷たい闇の中、冷たい水を切り裂いて一筋の光を見出すように小さな手を掴んだ感覚を思い出す。

その時、ふわりと温かい柔らかなものに心ごと抱きしめられるように包まれた。

優しい香りが鼻腔を擽り思わず安堵の溜息が漏れる。

そのぬくもりを失いたくなくてしっかりと抱きしめてもっと温かさを感じたいと引き寄せる。


心が温かくなり満たされていく。


春の日差しの様な優しい声が俺の凍りついた心を溶かしていく。


『あなたを心から愛しているわ。』


あぁ、聖良の声だ。このぬくもりは聖良なのか…。


俺の心の扉を開くただ一人の愛する女性


聖良…。


愛しているよ