「聖良。龍也の心に抱えているものが俺は何か知らないが、あいつは何もかも一人で耐えて抱え込む所がある。人に頼らないのは立派な心がけだが人は一人では生きられないんだって事をおまえが教えてやるんだ。あのままじゃ龍也はいつか潰れてしまう。」

お兄ちゃんは何も知らない筈なのに龍也先輩に何かを感じていたみたい。
突然の言葉に驚きはしたけれどその言葉は胸に染みた。

お兄ちゃんはいつもあたしに的確なアドバイスをくれる。迷ったり不安になったりしたときにちゃんと正しい道を自分で気付く様にさりげなく教えてくれる。

今だってあたしが龍也先輩の支えになりたいのに必要とされていないんじゃないかと僅かに不安を感じていたのを敏感に感じ取ったに違いない。

「うん。あたしもそう思う。先輩は何もかも一人で抱え込みすぎる。」

「本当に強い事と強がる事は違うんだってちゃんと教えてやるんだ。おまえなら出来るよ。」

お兄ちゃんが龍也先輩を本当に心配してくれているのが凄くうれしかった。
あたしの膝に頭を乗せて苦しげに力なく眠り続ける龍也先輩の髪を弄りながらきっとこの人を救って見せると心に誓った。

きっとあたしがあなたの心を開いてみせるよ。

きっとあたしがあなたの苦しみを取り除いてあげる。

あたしじゃ頼りないかもしれないけれどあなたが唯一弱みを見せれるのがあたしだというのならあなたを救えるのはあたししかいないと思う。

あたしはいつだってあなたの傍にいる

いつだってあなたを抱きしめてあげる

ずっとずっとあなたを愛していくから…。

お願いあたしを求めて…。