病院で点滴をしてもらった先輩は幾分か落ち着いたようだった。
それでもまだ熱は高くて、先生の仰るには2日くらいは熱が続くだろうという事だった。

温かくしてとにかく栄養のあるものを食べてゆっくりと休む事。

当たり前の事だけど一人暮らしでこの熱ではとても無理な話だと思う。

「あたし、このまま龍也先輩のマンションに暫くいてもいい?」

お兄ちゃんの運転で龍也先輩を病院から家まで送る車の中であたしは思い切って切り出した。
龍也先輩はあたしの膝枕でグッタリとしている。あたしの腕の中で気を失ってからずっと意識が戻らない。こんな先輩を一人でマンションに帰すなんて出来る筈が無い。

「好きにすればいい。
どっちにしても今夜は付いていないといけないだろうし、家へ連れてきても良いが自分の部屋のほうが龍也もゆっくりと休めるだろうな。
おまえがそう思うなら気が済むまで龍也に付いていてやるといいさ。
母さんには俺からちゃんと話しておいてやるよ。」

反対されるかもしれないと思っていたあたしにとってお兄ちゃんの言葉は意外だったけれど、お兄ちゃんも龍也先輩のこと気に入ってくれてあたしたちを認めてくれていると思うと凄くうれしかった。