それから太閤は利家と今後の豊臣家について話し合った。徳川家康が今後、どう動くか、太閤と利家は意見交換した。太閤は徳川と姻戚関係を結び絆を強めるために、秀頼と家康の孫娘とを婚約させていた。それがあるために、家康とて豊臣家を軽んじる事はないだろうと考えられていたが、太閤も利家も、家康は油断ならないと分析していた。太閤は家康を心の底から恐れていた。家康を討伐することを考えたこともあるが、家康と戦えば天下が二分されることを警戒して、懐柔する策を実行してきたが、今はそれを後悔していた。利家は家康を封じ込めることが大事であり、家康以外の五大老を束ねておれば、家康は動くことはないと考え、太閤も利家も家康を封じ込めることが大事だと意見が一致した。太閤は利家にこれまでの友情に対して感謝の言葉を述べ、名残りおしいが三成の事を頼むと言い残して、利家を下がらせた。利家は降り続ける雨に豊臣家の将来を重ね合わせて、前途多難であると感じながら帰路についた。太閤の友情に応え、豊臣家を守り行く決意を改めて鼓舞していた。