今は、広いお庭の薔薇の水やりをしてる最中。
「それにしても…すごい量」
辺り一面の真紅の薔薇。
目がチカチカする。
一通り水やりを終えたあたしは、お城へ入ろうとした。
「………あれ」
その時、城門から誰かが入って来るのが見えた。
…お客さん?
珍しいなぁ。
その人影は、真っ直ぐに正面玄関まで進み、途中で足を止めた。
「………?」
そして、急にこっちを振り返り、足早に近づいて来る。
驚いたあたしは、目を見開いて、その人物を見た。
…女の子、だった。
艶やかな長い黒髪は、パーマをかけたようにふんわりとしている。
アメジストのような紫色の瞳は、少しつり上がっていた。
………美少女。