変なことを言ったつもりはないのに。


一拍置いて、メイ様が叫んだ。


「ロゼが笑った―――!!」


………え。


「本当だ。すげぇな、メイ。滅多に見れねぇぞ」


…笑った? 私が。


「そのような珍しいことでは…」


「「や、珍しいから」」


声を揃えてそう言われ、私は眉をひそめた。


すると、レオ様が笑った。


「ロゼ、良いことなんだから、そんな顔すんなって」


「…はあ…」


「そうそう!じゃ、お茶会の準備しよっ」


メイ様が楽しそうに、厨房へ向かう。


その後ろを、レオ様がついて行く。



「………」



2人の後ろ姿を見つめていると、思わず笑みが零れた。





そして、

私も一歩を踏み出した。