こいつらは、知らない。


俺が、誰一人として名前を覚えていないことを。


「レオ様、あたしとお祭り回りましょ!!」


「何言ってんの、私とよ!!ねぇ、レオ様?」


いや、勝手に決めんなよ。


ふと、メイを見ると、視線が絡んだ。


けど、メイはすぐに逸らす。



俺は思わず笑みを零した。


「…悪いけど、連れがいるんです」


途端に、女たちが文句を言い始める。


「えーっ?誰?」


「あそこにいる2人です」


俺は、メイとロゼがいる場所へ向かう。


すると、女たちが口々にメイを非難し始め、対するメイは怒り始めた。



面倒なことになる前に、俺は抗議の声を上げようとしたメイを遮り、微笑む。



「この子は、私の妹です」