それにしても、今この人、占い師って言った?


そう言われると、黒いマントもなんだか納得してしまう。


先入観って怖い。


「えーっと…占い師さんでしたか。では、そゆことで」


何となく関わったらいけない気がして、あたしはその場を去ろうとした。


「…おとぎ話のような出逢いに憧れてるのでしたね?」


ピタリと足を止める。



憧れてます。


憧れてますけど。



「…貴女を、占って差し上げましょうか?」


…負けた。


あたしはがっくりと肩を落とし、小さく「…はい」と返事をした。

そこまで言われたら、気になっちゃうじゃん…。


「えと…何占いですか?手相とか?」


あたしがそう聞くと、占い師はいいえ、と首を横に振る。


「私には、もう見えています」