「……イ」


…誰だろう…。


誰かが遠くで…あたしの名前を呼んでる。


「…メイ」


陽兄?大兄?草兄?


あたしまだ、寝てたい…


「メイッ!! 起きやがれッ!!」


「うわっはいぃ!!」


耳元で大声をあげられ、あたしは一気に覚醒する。


飛び起きたあたしのすぐ近くに、不機嫌な顔した魔族がひとり。


「………レオ」


「いつまで寝てんだお前は」


ため息をつくレオを、あたしはじっと見つめる。



…そうでした。


あたし今、魔界にいるんでした…。



夢なら覚めてくれないかなぁ、とぼんやりとレオの瞳を見ていると、レオがニヤリと笑う。


あたしはその表情にドキリとした。



…この笑みは。


ろくなこと言い出さない笑みだ。