「まだ何かあんのか」
「や、あるっていうか…それ、何?」
あたしはそろりと翼を指差す。
レオは「ああ」と小さく呟いた。
「見てわかんだろ?翼」
「わかるけど…魔族ってみんなあるの?」
あたしはしげしげと眺めた。
翼が生えた人に、会ったことなんかないし。
「…あー、ある奴は…ある」
「…何その曖昧な返事」
ない人もいるってことかな。
遺伝とか?
「…怖いか?」
「え?」
まさかの質問に、あたしは一瞬怯む。
でも、すぐに笑って答えた。
「全然怖くないよ!だってその翼がレオにあったおかげで、あたし助かったし」
レオに翼がなかったらと思うと、今更ながらぞっとした。