「あーあ…」
ため息をつきながら、いつもの帰り道を歩く。
今日も、平凡な1日だった。
「おとぎ話みたいな出逢いってないのかなぁ―…」
こう言うと、あたしの友達はみんな笑って答えるんだ。
"現実見なよ"って。
いいじゃない!
ちょっとぐらい夢見たって、ねぇ?
「ありますよ」
………はい?
声がした方を驚いて振り返ると、黒いマントに身を包んだ人が立っていた。
顔見えないし…
見るからに怪しい。
「…へ、変質者はお断りしてマス」
口をひきつらせ、後ずさりしながらそう言うと、あたしの頭の中には3人の兄たちの言葉が次々に浮かぶ。
えーと、えーと。
変質者に会ったら…逃げるが勝ちだっけ?
「私は占い師です」
黒いマントの人が言う。
声の低さからして…男の人だと思う。