その声に我に返ったのか、レオの体が一瞬強張った。


けどすぐに、ニヤリと笑った。


「よしわかった、1年待つ」


「………は?」


全ッ然質問の答えになってないし。


レオは何故か得意気に鼻を鳴らす。


「1年、魔界で過ごせ。その間に、どうするか決めてもらう」


「決めるって…」


「俺の嫁になるか、人間界に帰るか」


あたしは、キュッと唇を結ぶ。


「もしかしたら、俺の親父が人間界への扉を開けれるかもしれない。ただ、旅行中で帰ってくんのが1年後だ」


…1年。


あたしの世界で言えば、たった1日。


「…いいわよ。でも、絶対帰るから!」


覚悟を決めてそう言ったあたしを、レオは嬉しそうに眺め、自信たっぷりに言い放った。



「…俺に惚れさせてやるよ」



きっと…


さっきのは気のせいだ。





レオの瞳が、悲しく細められたのは―――…