「………メイ」


その優しい声音に、思わずあたしは顔をあげた。


何故だかレオは、少しだけ寂しそうだった。


「俺はずっとお前を探してたんだ。そして、やっと見つけた」


「………」


「間違いだなんて、言わせない」


真剣な口調に、真剣な瞳。


その全てに、あたしは吸い込まれてしまいそうだった。



ハッと思い返して、首を振る。


「―――もし!億が一あたしが薔薇姫の子供でも!」


「桁増やすな」


レオの冷静なツッコミを無視して、あたしは続ける。


「あたしは、レオと結婚なんかしない!」


今までの話からすると、レオは"薔薇姫の子供"が欲しいんだ。


それはあたしであっても、あたし自身じゃない。



それに、会ったばかりの好きでもない人(しかも魔族!)と結婚なんか出来ない。