泣いて嫌がる妻を、男は無理やり赤子と一緒に人間界へ送った。
けれどそれは結果的に、悲劇を生むことになった。
このことを知った魔族たちは、男を責めた。
可能性をもつ蒼い瞳をもった者を、二人も帰したと。
男は他の貴族たちからも迫害を受け、魔界から追放された。
魔界は再び不景気に陥り、戦争が幾度となく繰り返された。
その昔話は、代々受け継がれていった。
蒼い瞳をもっていたその少女は、いつしか"薔薇姫"と呼ばれるようになった。
再び魔界に希望をもたらす為、魔族は十年に一度、人間界へ降り立つ。
―――薔薇姫の子共を見つけ出す為に。