蒼い、薔薇。


それは、"不可能"の代名詞。



蒼い薔薇は、過去何千年もの歴史の中で、つくられたことはなかった。



―――不可能とされていた。



その少女の登場によって、魔界は変わった。


"不可能"の色の瞳をもつ少女が現れたことで、それは"可能"に変わった。


不景気が続いていた中で、少女の存在は魔族に希望を与えた。


魔族は彼女を受け入れ、彼女もまた、それを拒まなかった。



ある日、彼女は貴族の一人と恋に落ちた。



平和の象徴の紅い瞳。


不可能を可能に変えた蒼い瞳。



それぞれの瞳をもつ者が一緒にいることで、魔界中に大きな安心感を与えた。


景気は回復し、何よりも魔界全体が明るくなった。



…ちょうど10年が過ぎた頃、事件は起きた。