「えっ…何で…!?」


驚きを隠せないあたしに向かって、お母さんは微笑んだ。


「そろそろかしらって思って、帰ってきたのよ」


…そろそろ?


「…行ったのよね?魔界に」


「………!」


「そろそろ帰ってくると思ったのよ」


…そうだった。


お母さんが、"薔薇姫"…


「お、お母さ…」


「わかってるわ、芽依」


あたしの言葉を遮ったお母さんの表情は、どこか寂しげだった。


その表情を見て、あたしは口をつぐむ。


「あなたが私に訊きたいことが山ほどあるってことは、わかってるわ。…リビングに行きましょう」


お母さんの提案に、あたしは頷くことしか出来ない。


早く、お母さんの口から…魔界のことが聞きたかった。