見上げると、親父の瞳が悪戯に細められた。
「ピンチをチャンスに変えるのが、俺の息子だ」
ピンチを…チャンスに?
そのとき、俺は無意識に胸元のネックレスを握った。
―――蒼い玉のついた、ネックレス。
「………!」
わかった。
俺が今、すべきこと。
俺は駆け出そうと親父に背を向け、少しだけ振り返る。
「…親父、迷惑かけるかも」
「安心しろ。いつものことだ」
そう言って苦笑した親父に、俺は久々に笑顔を返した。
「―――ありがとう」
そして俺は、自分の部屋に向かって駆け出した。
…大丈夫。
まだ、掴める。