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「レオ」


気分転換にと、城内をうろついていた俺は、誰かに声をかけられた。


…が、振り向かずに歩を進める。


「レオー?」


声の主なんか、顔を見なくたって嫌でもわかる。


話しかけてくんなオーラを出したつもりが、相手には全く伝わらなかったらしく、


「耳遠くなったか?レオ」


…何てバカなことを言いつつ、俺の後ろをついてくるのは。


「…ついてくんなクソ親父」


「何でだよ」


「何ででも!」


"貴族らしく"をモットーにした、表の親父ではなく、ただのうざい親父。


もとはと言えば、親父のせいで俺に表の顔…嘘の俺が出来たんだ。



こんなに疲れてんのは親父のせい。


うん、親父のせい。



そう自分に言い聞かせながら、俺はひたすら廊下を進む。