躊躇いつつも部屋を出ていくロゼに、俺は心の中で礼を言った。


起き上がる気になれず、再びベッドに倒れ込む。



額に手をあて、瞳を閉じる。



―――メイ。



暗闇に浮かぶのは、メイの笑顔。


こんなにも愛しいのに、運命は残酷なモノで。



紅と蒼は、結ばれない。



その現実を、ことごとく突きつけられた。


…手を伸ばせば、届く距離にいたのに。


今はもう、空しか掴めない。



告げたのは、俺。


決めたのは、メイ。



どうして俺たちは、同じ世界に生まれなかったんだろう。


どうして、違う色の瞳を持ってしまったんだろう。



「メイ…」



いくら名前を呼んでも、返事はない。


俺たちは、もう逢うことはない。



そう、二度と―――…