その言葉は、あたしを暗く深い闇に突き落とすには、充分すぎて。



「―――え…?」



一瞬にして目の前が真っ暗になったあたしは、聞き返すことしか出来ない。


「メイは、人間界に帰れ」


さっきと同じ言葉を、今度はキッパリと言うレオに、苛立ちが募る。


「…どうして!?」


どうして…そうなるの?


「…俺はずっと、叔父が何で"薔薇姫"を人間界に還したのか、理解出来なかった」


「………」


「好きなら護るべきだって、そう思ってた」


…"思ってた"。


過去の言葉に、あたしは虚しさを覚えた。


「…違ったの?」


あたしの問いに、レオは悲しそうに、でも優しく笑った。



「護るだけが"好き"じゃない。そう気づいた」



一筋の涙が、あたしの頬を静かに伝った。