あたしの唇は、レオに塞がれていて。


ただ驚いて、目を見張ることしか出来なかった。



「…言うな」



唇が離れると同時に、レオがそう呟いた。


「その先を…言うな」


「…な…んで…?」


何で、そんな悲しそうな顔をするの?


あたしは、「レオが好き」って言いたいだけなのに。


「その先を言われたら…行くな、って言いたくなる」


―――え?


「この腕を、離したくなくなる…!」


…わからなかった。


レオの言葉の意味も、悲しい表情の理由も。



だからあたしは、笑顔を返す。


「…やだ、レオ。あたしどこにも行かないよ?」


なのに、どうして?


どうして、笑ってくれないの?



悲しみのこもった瞳で、レオはあたしを見て言った。



「―――メイは、人間界に帰れ」