「突然、俺の目の前で転んだヤツがいて。それが、偶然メイだった」


「うそ…」


「泣き出すかと思って、"大丈夫か?"って声かけたんだよ。そしたらメイは、笑顔だった」


あ…


少しだけだけど、思い出した。



公園で犬の散歩してたら、逃げられちゃって。


慌てて追いかけたら転んで…声をかけられて。


顔を上げたら、天使みたいな男の子がいたんだ。


「"大丈夫!ありがとー"って、すっげぇ笑顔でさ」


…あまりに綺麗な髪に瞳だったから、涙引っ込んじゃったんだよ。



思えば、その頃からかな。


あたしが、王子様に憧れだしたのって…


「その時だ。俺がメイを好きになったのは」


「え?」


…ちょっと待って。


そんな昔から…?


「メイの瞳が蒼いのを見て、"薔薇姫の子"だってわかった。…俺が手に入れたいって、思ったんだ」