ゆっくりと離れるレオの温もりに、あたしは名残惜しさを感じた。


このまま…


遠くに離れていっちゃう気がして、怖かった。



「冗談なんかじゃない」



でも、まっすぐあたしの瞳を見て、レオはそう言ってくれた。


「掟なんか、関係なかった。俺は…」






「俺は、メイが好きだ」






…夢かと思った。


「ほ…んとに…?」


目の前にいるレオが、本物なのかも疑った。


でも、頷いてくれたのは、紛れもなくあたしの大好きなひと。


「…俺、何百年も前に、メイに会ったことがある」


「………えっ!?」


あたしが驚くと、レオは「メイにとっては何十年か前だな」って笑って言った。


「ガキだったからさ。"薔薇姫の子"とか関係なく、ただ人間界に行ってみたかっただけなんだけど」


その時を懐かしむように、レオは瞳を細めた。