あたしの震える体は、優しい温もりに包まれた。
「―――…?」
「メイ…」
一瞬、何が起きたのかわからなくて。
レオの声が耳元から聞こえてから、抱きしめられたんだ、と理解した。
「メイ…悪かった」
「…何で、レオが謝るの?」
そんな苦しい声出さないで。
あたしまで、苦しくなる。
「俺のせいで…メイに嫌な思いさせた」
「…レオ」
「俺のせいだっ…」
レオの腕に、力がこもった。
…違うよ、レオ。
あたし、あなたに謝ってもらいたいんじゃない。
「…あの言葉は…嘘だったの?」
ピクリと反応する、レオの体。
「"お前が欲しい"って…あれは冗談だった?」
貴族と"薔薇姫の子"は結ばれてはいけない。
その掟があるのに、どうしてあんなことを言ったの…?