どうすればいいのかなんて、決まってるじゃない。


誰にも迷惑をかけない方法。


あたしが人間界に帰ればいい。



それでも―――…


「…すみません。一人にして下さい」


あたしは、声を振り絞ってそう言った。


もう…頭の中ごちゃごちゃだよ。


「…覚悟を決めたら、言って。俺なら、君を人間界に今すぐにでも送り返せる」


マオさんの気配が、遠のいた。


あたしは顔を上げることが出来ずに、震える手をぎゅっと握る。



そして、扉の閉まる音が、静かに部屋に響いた。


「…ふっ…ぇ…」


緊張の糸がほどけたのか、堰を切ったように、とめどなく溢れる涙。


「レオ…レオッ…!」


あたし…あなたに出逢っちゃ、いけなかったの?


あたしが、あなたを苦しめていたの?



「レオ…」



あたしの小さな声は、この小さな部屋に虚しく木霊した。