「魔界じゃ、掟が絶対なんだ。いくら俺が現魔王でも、個人の考えだけで掟を変えることは出来ない」
「…掟を…破ったら?」
答えは予想出来る。
でも、訊かずにはいられない。
「掟を破ったら…どうなるんですか?」
マオさんは、あたしをじっと見つめたあと、ゆっくりと口を開いた。
「…魔界から、追放される」
魔界からの追放。
この世界で、それは…死刑を意味する。
あたしは、体の中の何かがぐらりと傾いた気がした。
…レオとあたしは、結ばれない。
結ばれたとしても…レオが追放されちゃう。
どうすれば。
どうすればいいの?
カタンという小さな音に反応すると、マオさんの姿が近くにあることに気がついた。
さっきまで扉の前にいたのに。
今は…あたしの目の前にいる。