…何ともないような顔をして話してるけど。


きっと…苦しかったよね。


「魔族は"薔薇姫の子"を探しながらも、心の中の不安は拭えなかった。"もし、また貴族が見つけたら?同じ過ちを犯したら?"」


マオさんは、ゆっくりと深呼吸をしてから続けた。


「そこで出来たのが、貴族を縛り付ける"掟"だ」


「…おきて…?」


「貴族は、"薔薇姫の子"と接触してはならない。そして…」


…マオさんの瞳が、あたしを捉えた。



「貴族は、"薔薇姫の子"と結ばれてはならない」



同じ過ちを繰り返さない為に。


そんな掟がつくられたの?



あたしは、唇をきゅっと固く結んだ。


「全く、ふざけた掟だと俺は思う」


マオさんは首を左右に振りながらそう呟いたあと、「でも、」と続けた。