「さっきは、見苦しい所を見せて悪かったね」


「……いえ…」


あたしは…別に、悪いことをしたわけじゃないのに。


目を合わせることが、出来なかった。


「………」


体にかかっていたブランケットを、ぎゅっと握る。


勇気を出して、口を開こうとした、そのときだった。


「…どこまで聞いてるのかな、君は」


魔王さまに訊ねられ、一瞬言葉を失った。


「俺の兄さんのこと、俺たち家族の苦痛、そして現在に至るまでの過程ー…」


「…それ、は、知ってます…」


震える唇を動かし、何とかそう答えるあたしに、魔王さまはつまらなそうにため息を返した。


「…ずいぶんとまぁ、話したんだなアイツら。殆どネオだろうけど」


「あの…魔王さま」


そう声をかけると、魔王さまは驚いてあたしを見た。