…やだ、やめてよ。


そんなの嘘だ、って言ってよ。


「レオ…本当なの…?」


あたしから逸らしたその瞳が、真実だと告げた。


…貴族と"薔薇姫の子"は、結ばれない。



結バレテハイケナイ―――…



意識を手放す中、誰かがあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた…





*****


「………ん」


重たい瞼を持ち上げると、ぼんやりと映るカラフルな部屋。


あたしの…部屋だ。



この世界での、あたしの部屋。


あたしの居場所…



「目が覚めたかな」



扉にもたれかかるようにして立っていたのは、魔王さま。


その姿を見て、あたしの体は無意識に強張る。


「………っ」


「そう怯えないでくれよ。悲しいじゃないか」


苦笑するその表情は、冷たさを全く含まず、温かく感じた。