「…訊かなくたってわかんだろ」


口元から流れる血を、レオは袖口でゆっくりと拭った。



「俺は、メイを嫁にする」



レオの言葉に、魔王さまの拳を握る力が、より一層深まった。


「…ロゼ…!お前がついていながら、何でこんな事態になってるんだ」


「やめろよ。ロゼは関係ない」


レオは立ち上がると、今度は魔王さまをしっかりと見据えた。



「―――俺が決めたんだ」



魔王さまは、片手を額に当て、深いため息をついた。


「…レオ、わかってるな?貴族と"薔薇姫"の子は結ばれてはいけない」


―――え?



「永遠に結ばれないんだ」



刃物のような、その言葉は。


いとも容易く、あたしの心に傷をつけた。


「…レオ…どういうこと?」


あたしがそう訊ねると、レオは申し訳なさそうな視線を向けた。