―――瞬間。
「………!」
大きく見開かれた、レオの真紅の瞳。
気のせいか、その瞳に、一瞬"恐怖"が浮かんだ気がした。
…でも、そんなことないよね。
レオが怖がるものなんて…ないよね?
あたしたちの様子を不思議に思ったのか、ロゼも次いで空を仰ぐ。
そして、すぐに呟かれた言葉。
「マオ様…」
レオ、ネオときて、マオ。
…ってことはだよ?
「………親父」
あたしの隣で、レオが小さく呟いた。
漆黒の翼を羽ばたかせ、空から舞い降りてきた男の人は、静かにテーブルの上に着地した。
長い金髪はひとつに結わえられ、真紅の瞳は爛々と輝いている。
―――この人が、魔王。
空気から伝わってくる、気品や…威厳。
すごい…
そこにいるだけなのに、こんなにも圧倒される。