「俺たちには、叔父さんにあたる人なんだけど。叔父さんが追放された時、周りの反応は酷かったんだ」


まだ驚きを隠せないあたしに、ネオは苦笑しつつ続けた、


「裏切り者の血筋だって、忌み嫌われてさ。親父が一番参ってた。だから親父は相当努力して、今の地位を得たんだ」


「今の…地位って」


魔界の統率者…


つまり、魔王?


「親父が魔王になると、周囲からの嫌がらせは減ったんだ。ただ、裏切りの印だけは消せなかった」


裏切りの印。


その言葉を聞いて、あたしはぞくっと寒気に襲われた。


「…印、って…?」


恐る恐る訊ねるあたしに、ネオは静かに答えた。



「黒の両翼。これが、裏切りの印」



たちまちネオの背中に現れた、漆黒の翼。


舞い散る羽根を、あたしはただ眺めていた。