…あたしが、喋ってる?
魔族の言葉を?
「ええっ!? これ…今話してるの、魔族語!?」
「はい。そうです」
驚きのあまり、素っ頓狂な声を上げたあたしに、ロゼは至って冷静に答えた。
レオがこの場にいたら、間違いなく「気づいてなかったのかよ」とか言って、馬鹿にしそう。
その点、ロゼはそんなこと言わないから安心する。
「魔族の文字が読めたり、話すことが出来るのは、魔族の血を引くものだけです」
―――その言葉が、意味するもの。
あたしは、ロゼの瞳を見て、か細い声で呟いた。
「それは…あたしが…?」
その続きを訊けないあたしに、ロゼはほんの少し、表情を和らげて言った。
「魔族と人間の間に生まれた、"薔薇姫の子"だという、紛れもない証拠です」